2.PET検査受診者が事前に知っておくことは何か

PET(陽電子放射断層撮影装置)検査は、どのような検査か

医療信仰の一例として、PET検査で検証してみましょう。

PET検査は、1ミリくらいの小さながんも早期発見できるということがPRされているために、人間ドックでこの検査を受けた方は多いと思いますが、どの程度の情報に基づいて検診に臨んでいるのでしょうか。
また、病気治療中の患者は、医師からの一方的な検査命令に対して検査を受けたと思いますが、検査のリスクについてどの程度の説明を受けたのでしょうか。

PET検査は、がん細胞が正常細胞より多くのブドウ糖を取り込む特性があるという考え方から、それを利用して行う検査といわれ、微小のがんが早期に発見でき、しかも一度の検査で全身の診断ができると説明されています。
ただし、最近ではPET検査だけでは見つからないがんもあるとかで、CT検査が併用されるようになりました。

PET検査の方法は、検査前に陽電子放出核種をブドウ糖につけて投与し、全身に薬剤が浸透する1時間後に全身を撮影して、陽電子放出核種が検出された箇所をがんと診断するそうです。

PET検査に関する二つのテレビ放送の映像で検証してみましょう。

一つはテレビ東京の医師向け医療情報「話題の医学」です。
以下のPET画像は、この番組で大阪大学大学院医学系研究科放射線統合医学講座(核医学)畑澤順医師が説明されたものです。
医師の説明と私が感じた疑問を対比しますので、皆さんも画像の微妙な変化をよく見て考えてください。
なお、陽電子放出核種の集積量は、番組で示された図から、うす緑色、黄色、赤色の順で多くなっていると私は判断しました。

健常者のPET及びCT画像

健常者のPET及びCT画像

医師の説明

正常では脳組織が大量にブドウ糖を消費するために、脳への高い取り込みがみられます。
また、検査薬は腎臓から排泄されるために尿への高い蓄積がみられます。これらは正常の画像です。

私の疑問

  1. 私は数十年前に聞いた医師の次の言葉が、今も記憶に強く残っています。
    「頭は、薬に反応しないようになっています。いちいち薬に反応していたら大変なことになります。従って脳に反応を与える薬は相当強い薬ということになります。」
    画像は脳に大量の陽電子放出核種が集積している状態を示していますが、集積した物質は、いつ、どのような作用によって消滅するのでしょうか。
    画像は脳が薬剤に反応したということを示しているのでしょうか、それとも脳が薬剤に全く反応しないで、単に陽電子放出核種が集積しているだけなのでしょうか。
    いずれにしても、脳に陽電子放出核種が集積しているのですから、脳への悪影響が心配です。
  2. 投与後1時間で投与した物質が尿になり、排泄箇所に集まるとは思えません。
    排泄箇所は、様々な物質が通過しますので、細胞がそれらの物質にいちいち反応しないようになっているのではないかと思います。これは脳と同じ理由によるものと考えられます。
  3. 肝臓等胸部周辺のうす緑色が気になります。これも脳と同じ理由によるものと考えられます。

早期の大腸癌の画像

早期の大腸癌の画像
医師が示した早期大腸癌(○枠内)

上段の画像から癌と診断した箇所は、下段の画像の○印部分です。

医師の説明

○枠内に早期の大腸癌が認められる

私の疑問

  1. 排泄箇所が健常者の黄色に比べて赤になっています。
    陽電子放出核種はがん病巣に集積するという医師の説明に基づくと、投与した陽電子放出核種の数量は決まっているのですから、癌病巣があれば尿の部分の陽電子放出核種は、単純に加減算すると健常者より少なくなるはずです。
    癌患者の尿が赤になっていることは、健常者の説明と矛盾します。
  2. 健常者と比べて上半身が広範囲に緑色になっているにもかかわらず、○枠内だけが癌というのは理解できません。
  3. CT画像でも上半身全体が健常者と異なり、黒い部分が広範囲に現れています。
  4. 放送は、この大腸癌について治療後の画像が示されていませんでした。
    治療前後の画像比較は、治療の適否や検査のリスクを検証する上でとても重要な情報なのに、しかも医師向けの番組でこのような中途半端な情報提供が通用するのはなぜでしょうか。

右肺腺癌の画像

早期の大腸癌の画像
医師が示した早期大腸癌(○枠内)
抗がん剤投与1ケ月後

上段の画像から癌と診断した箇所は、中段の画像の枠で囲んだ部分です。
下段の画像は、「抗がん剤投与開始約1ケ月後」です。

医師の説明

  1. 右下肺に検査薬が異常に高く集積した領域のあることが認められ、鎖骨上、縦隔、右肺門に多発リンパ節転移もわかる。
  2. 抗がん剤投与後、高い集積が消失し、抗がん剤の効果があったことが認められる。

私の疑問

  1. 医師が癌と判断した箇所は、中段画像の枠で囲んだ部分だけです。
    枠より下にある赤色部分を癌と診断しないのはなぜでしょう。
  2. 治療前に枠で囲まなかった赤色部分が、抗がん剤投与後に拡大しているが、これを無視するために治療前の画像説明のときに枠で囲まなかったのでしょうか。
    CT画像でも枠の部分に相当する箇所以外は、抗がん剤投与後に悪化していることがわかります。
  3. 健常者の場合は、脳の中心部が黄色でした。
    抗がん剤治療後に脳全体が濃い赤に変化しています。抗がん剤によって脳の中心部は、かなりの痛手を受けたことがわかります。
  4. 首の辺りの異変も気になります。

子宮頸部小細胞癌の画像

子宮癌の画像
化学療法施行後

上段の画像は、「治療開始前」、下段の画像は、「化学療法施行後」です。

医師の説明

原発巣の高い集積とともに肝、骨盤内リンパ節、骨に多発性転移が認められる。
化学療法施行後、原発巣とともに転移巣のブドウ糖の代謝が低下しており、化学療法の効果がわかる

私の疑問

化学療法施行後、顔から首、胸にかけての異変が気になります。

心臓にも陽電子放出核種は集積する

もう一つの放送は、平成16年6月30日、NHK「きょうの健康」です。

矢印が癌らしい

医師の説明

赤の矢印の小さな点のところが癌らしい。
頭部については、上記の畑澤順医師の健常者の説明と同じでした。
他の黒い部分については説明がありませんでした。

心臓にも陽電子放出核種付着

医師の説明

右上画像の二つの○枠のうち、右上は、肺がん、中央は心臓。
心臓は頭部と同じ理由である。
CTとPETは同じ場所を撮影したものであるが、CTではがんの病巣はわからないが、PETでがんとわかる。

私の疑問

頭部、心臓、肝臓等に陽電子放出核種が多量に集積することについて、医師は「ブドウ糖の取り込みが多いから」と言って問題視していないようですが、排泄機能箇所も含めて、生命に重大な影響を与える箇所に陽電子出核種が集積することを受診者に知らせないのは重大だと思います。

PET検査受診者はどうすればよいか

これまで見てきた画像から、PET検査を一度でも受けると陽電子放出核種が病巣でもない頭部、心臓、排泄機能等生命に重大な影響を与えるところに多量に集積することがわかりました。
また、体内に集積した陽電子放出核種が、いつどのような作用によって消滅するのか明らかにされていません。

このようなことを考えると、受診者はPET検査のリスクについて事前に知っておく必要があります。
さらに検査後は医師が示した箇所のみの一方的な説明を受けるだけではなく、画像を入手して落ち着いて治療前後の画像比較ができれば、治療に伴う体調変化を患者自身が客観的に判断することができます。
身体を蝕む過剰な検査や症状悪化を招く治療は、避けたいものです。