5.関節を不自然な方向へ継続的に向ける体操をしてはいけない

関節を不自然な角度に曲げる体操の疑問

平成20年8月23日付日本経済新聞に次のような記事がありました。
記者が1図のような体操を1週間継続したら、2図のように姿勢の変化があり、想像以上に成果があったという内容でした。

関節の運動

1図の体操を見て感じたことは、関節を不自然に曲げていることです。これは好ましいことではありません。

体操を1週間続けたら、左図から右図のように姿勢が変化した

姿勢の変化

写真を比較すると、全身いたるところの歪みが歴然とわかります。

検証:姿勢の変化をもとに体操の是非を検証

  1. 顎が上がりました。本人は気づかないと思いますが、横を向いたときに首は少し上下に傾くようになると思います。
    テレビに映る多くの人々の中に首が長くなったり、短くなったり、太くなったり、顎が上がったり、首の筋肉がねじれたりして首を真横に向けることができなくなっている人が増えています。
    また、真正面を向いているのに頭頸部が傾いている人も増加しています。
    原因は様々だと思いますが、力を入れて不自然な関節の状態にすることも一因といえそうです。
  2. 腰椎周辺の筋肉がねじれたために、臀部が突き出た感じになっています。
    その結果、上着の前裾とパンツの間に隙間ができました。このような状態になると椅子に座ったとき、胃の下あたりがまっすぐにならず、窪んだ状態になると思います。こうなっている人も増えています。
  3. 肩や肘の関節にねじれが生じたと思います。
    腕全体が太くなり、後方に傾きました。次第に肩関節や肘関節の可動域が制限されるようになります。
  4. 膝関節に異常が生じていると思います。
    筋肉のねじれの影響を受けて、腓骨(膝から下の骨)が後方に反っています。パンツの様子からも、膝に大きな変化が生じたことがわかります。
    次第にかかとからつま先にも影響が現れ、つまづきやすくなったり、靴底の減り方も不均衡になると思います。
    また、ふくらはぎにも異常が生じて、こむらがえりによる痛みも起こるようになると思います。
  5. 記者はスクワットのせいで太ももの筋肉痛に襲われたが、三日目には薄れてしっかり踏ん張って立っていると感じるようになったと述べていました。
    これは、腰のねじれや股関節の変化から生じた悪影響であって、痛みが薄れたことは神経が押しつぶされて痛みを感じることができなくなったと考えるのが妥当と思います。
    また、踏ん張っていると感じるのは、足のねじれにより地面を強く押しているからです。
    本人はわからないと思いますが体重計の目盛は、体の重量の他に足裏が体重計を強く押す力が加わったものが表示されるようになるはずです。
  6. 私の経験では、足のねじれが改善していく途中は、足のしびれやかかとの痛み等で眠れない日が続きましたが、筋肉に伸縮性が戻ってくるにつれて、しびれが減少して足にフワッとした軽さを感じ、歩いていても軽やかでした。
  7. 「痛み」は、体の変化を測る重要な指標です。
    異常でなかったのに痛みが生じて、その痛みを感じなくなった。→ 神経が押しつぶされて痛みを発することができなくなったと考えた方がよいと思います。
  8. 逆に今まで体に異常が生じていたのに痛みを感じなかったが、体が改善するにつれてしびれや痛みが生じるようになった。 → 痛みを発することができないほど押しつぶされていた神経の回復が始まったと考え、その確認は、痛みの周辺の筋肉の伸縮性の復活でわかると思います。
  9. 姿勢は体操をした後より、体操をする前の方がはるかに美しいと思います。
    関節を無理に不自然な状態にする体操を行うと、1週間でこんなにも体が歪んでしまうのです。

体を締め付ける衣類を身につけるとどうなるか

次に3図のような高機能下着着用の有無で体に現れる変化を比較した4図(A図は着用前、B図は着用後)で検討してみましょう。
なお、記者は高機能下着を着用すると少し速度を上げて歩きたくなったと述べていました。

高機能下着着用
  1. A図は上半身がゆるやかに前傾していますが、B図は背中が丸くなったうえに重心が後方に傾いた感じです。
  2. 肩関節や肘はどうでしょうか。これもA図はゆるやかに前傾していますが、B図は肩関節の動きの幅が狭く、肘から指先まで一直線で筋肉は突っ張った状態になっているのではないかと思います。そのため腕の振り幅が大きくなったと思います。
    上半身のしかも丈の短い下着だけなのにその部分が当たっている箇所に生じた影響はその先の末端にまで及ぶことがわかります。
  3. 下着を着用すると速度を上げて歩きたくなるのは、下着が筋肉に刺激を与え続けて運動を促し続けているためです。
    細胞は人為的な作用を生じる下着によって働きづめにされていることになります。

行為と体の変化を比較するときの注意点は何か

以上から、変化の現れた箇所の全てを見ると同時に自覚症状との関連を、体の構造やメカニズムに照らして検証することが重要であることがわかります。

特に関節は筋肉に影響を与えたり、逆に筋肉からの影響を受けます。一旦関節に微妙なずれが生じると多くの場合元に戻すのは困難と思います。

リハビリで専門医が運動や体操を指導し、リハビリ箇所が改善した様子の報道が盛んですが、体全体に現れた変化に言及することはありません。

体に異常が生じたときにまず考えなければならないことは、異常が生じる結果になった最初の原因です。最初の原因を治せば現在異常が生じている箇所も治っていきます。
異常が生じている箇所のみをみて、無理な作用を与えて動かすことを繰り返すと異常発生の源が複数になり、それらが複雑に絡み合って全身は大変な事態に発展し、取り返しがつかなくなります。