1.医原病解明の必要性

顎関節症の発症原因は歯科医師による医療過誤が原因なので、顎関節症は医原病です。
顎関節が偏位するとそこを起点として四方八方へとなだれ込むようにして全身の細胞のメカニズムを乱していきます。顎関節症は万病のもとです。
自然科学の論理なき医療行為は新たな病気の発症を招き、病因の解明をしないままに病巣を治療する行為は種々の新たな医原病の発症につながり患者を苦しめていきます。

2.三権の法解釈の誤りによる違法行為を国民が指摘する必要性

実親子関係に重大な影響を及ぼす出生届出や衆議院解散等、三権(国の統治権の立法権、司法権および行政権)の誤った判断や恣意的な法解釈による違法行為は、法治国家を否定する行為です。
国民は憲法や法律の規定、法令用語の常識を根拠にその誤りを指摘して、国民の力で法治国家を守り秩序ある社会にしていきましょう。

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7.父子間の性犯罪処罰規定について

名古屋地方裁判所岡崎支部の判決について

父子間の性犯罪について、平成31年3月26日に名古屋地方裁判所岡崎支部の鵜飼祐充裁判長は父親に無罪判決を言い渡しましたが、多くの方が疑問を呈しています。

事件の概要は次の通りです。

  1. 父親からのなぐるけるの暴行が小学生の時から始まりました。
  2. 中学2年からは性交を強いられるようになり、頻繁に繰り返されました。
  3. 19歳だった平成29年8月に父親の関係先の会社の会議室で、9月にはホテルで性的暴行をうけ、この2回について検察は父親を起訴しました。

判決理由は次の通りで、娘に抗拒不能状態が認められないので父親を無罪にしました。

  1. 娘が性行為に同意していないことを認定しました。
  2. 娘は弟や友人に被害について相談したり、一人暮らしを検討していた事実から父親に逆らうことがまったくできない心理状態だったとは言えないので、父親の強い支配による従属関係にあったとは言い難く心理的に著しく抵抗できない状態だったとは認められない。

検証:検察は準強制性交罪で起訴しました

刑事訴訟法第256条

刑法第178条(準強制わいせつ及び準強制性交等)

人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。

2 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

刑法第176条(強制わいせつ)

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

判決は性行為の同意の有無について触れていますが、第178条の規定を読むと同意の有無は同罪の成立要件にならないのではないかと思います。

成立要件になるのは心神喪失や抗拒不能状態の有無ですが、多くの解説を読むと「抗拒不能」を次のように解釈していました。

抗拒不能状態について
心神喪失以外の理由によって心理的、物理的に抵抗することが不能又は著しく困難な状態をいい、恐怖・驚愕・錯誤等によって行動の自由を失っているなど。

抗拒の意味は「精選版日本国語大辞典」によると次の通りです。

手向かいして拒むこと。抵抗して相手の行為を妨害すること。

出典:抗拒の意味

「抗拒不能」に「心理的要因によって抵抗することが不能」が含まれないのは明らかであり、「抵抗して相手の行為を妨害することが不能であった状態」を立証しなければなりません。

判決理由に、父親が行為に及ぼうとしたときに娘は抵抗して妨害することが不能な状況にあったとの具体的な事実認定がありませんので、父親を「準強制性交罪」で有罪にするのは無理です。

検察はなぜ「準強制性交罪」で起訴したのでしょうか。

監護者によるわいせつや性交等については第179条に規定がありますが、成立要件は「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて」です。

一定の血縁関係にある者同士の性交は絶対に認められない行為で、年齢に関係なく監護する者であることによる影響力があることに乗じるという要件を問わずに処罰できなければ同様の被害は野放しになります。

裁判は起訴内容が法の適用を誤っているだけでなく、被害者の泣き寝入りを助長するものでした。

親子間の性犯罪は強要罪(第223条第2項)で起訴

1.親子間の性犯罪は強要罪(第223条第2項)を適用すべきでした。

第32章 脅迫の罪

第222条(脅迫)

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

第223条(強要)

生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

3 前二項の罪の未遂は、罰する。

2.親族の範囲については民法第725条に規定されています。

第725条 次に掲げる者は、親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族

3.養父からの虐待もあるようなので、養父は親族に当たるのかどうかも確認しておきましょう。

民法第727条(縁組による親族関係の発生)

 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。

4.第223条文中の「害を加える旨を告知して脅迫し」や「人に義務のないことを行わせ」の解釈について

「害を加える旨を告知して脅迫し」や「人に義務のないことを行わせ」は強要罪の成立要件ですが、解釈については下記の記事が参考になると思います。

強要罪の刑事告訴

強要罪についての犯罪は脅迫の罪に該当します。
刑法では、脅迫の罪として強要罪(刑法223条)、脅迫罪(刑法222条)を規定しています。

強要罪の保護法益は円満な社会生活維持の観点から個人の意思決定の自由・個人の意思活動の自由です。強要罪が侵害された時に処罰が可能となるいわゆる侵害犯である一方、脅迫罪は抽象的危険犯である点が特徴です。

強要罪の成立要件

• 行為

①生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し②害を加える旨を告知して③脅迫し、又は④暴行を用いて、⑤人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したことが求められます。

害悪の告知は明示は必要ではなく、態度による脅迫も害悪の告知に含まれます。

③脅迫とは、周囲の状況、相手の態様等を鑑み、恐怖心を起こすことを目的として一般的に通常人を畏怖させる程度の害悪の告知をいいます。告訴権・告発権の行使の告知であっても、権利行使の意志をもたずに相手を畏怖させることを目的とするものである場合は脅迫に該当してきます。

④暴行は、人の身体に対して向けられた不法な有形力の行使であり、身体的苦痛を惹起する程度の暴行をいいます。また、暴行は傷害未遂の役割を果たしていることから、人の身体に直接接触しなくとも、傷害の結果発生の具体的危険を生じさせる行為であれば暴行に該当するといえます。

人に義務のないことを行わせるとは、相手に当該行為を行う義務がないにもかかわらず作為・不作為又は受忍させることをいいます。

⑥権利の行使を妨害したとは、相手が作為・不作為を行うことを妨害することをいいます。

• 結果

強要罪の保護法益である個人の意思決定の自由・個人の意思活動の自由が構成要件的結果である人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したことの具現化が必要であることから、命じるだけではなく、被害者が当該命令に従ったということまでが必要となります。

強要罪の未遂

強要罪の着手時期は脅迫・暴行の開始であり、害悪を告知しても結果が発生しなかった場合は、脅迫罪ではなく強要罪の未遂が成立します。

出典:強要罪の刑事告訴

親族からの性的虐待を許さないためにも被害者は泣き寝入りしないで刑事告訴し、司法関係者は適法な罰則の起訴を心がけて被害者の精神的肉体的苦痛の早期解放に繋がるように努力されることを望みます。

家庭内の親族間の性的虐待に対して他の家族からは知らん振りされて被害者が一人で苦しんでいる実情を考えると、親族間の性的虐待は「暴行、脅迫、心神喪失、抗拒不能」という成立要件の厳しい「強制性交罪(第177条)、準強制性交罪(178条)」で起訴するのではなく、被害を受け始めた早い時期に「強要罪」で起訴するようにし、他の家族との状況によっては未成年の場合は行政も早期に関与して被害者を救済していくことが必要と思います。

親族間の性的虐待は「強要罪」適用で救済できることを世間に広め、未成年者が他人に悩みを打ち明けた時に他人も行政に通報して協力する体制を作っていくことが必要と思います。