1.医原病解明の必要性

顎関節症の発症原因は歯科医師による医療過誤が原因なので、顎関節症は医原病です。
顎関節が偏位するとそこを起点として四方八方へとなだれ込むようにして全身の細胞のメカニズムを乱していきます。顎関節症は万病のもとです。
自然科学の論理なき医療行為は新たな病気の発症を招き、病因の解明をしないままに病巣を治療する行為は種々の新たな医原病の発症につながり患者を苦しめていきます。

2.三権の法解釈の誤りによる違法行為を国民が指摘する必要性

実親子関係に重大な影響を及ぼす出生届出や衆議院解散等、三権(国の統治権の立法権、司法権および行政権)の誤った判断や恣意的な法解釈による違法行為は、法治国家を否定する行為です。
国民は憲法や法律の規定、法令用語の常識を根拠にその誤りを指摘して、国民の力で法治国家を守り秩序ある社会にしていきましょう。

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4.父子関係家裁判決について

父子関係東京家裁判決の内容

報道によると俳優とその長男の父子関係訴訟判決が平成27年11月19日東京家裁であり、蓮井俊治裁判官は、「双方に親子関係はない」とし、判決理由は次の通りのようです。

  1. 婚姻から200日目に出生した長男は、民法第772条2項により嫡出子であると推定されない。
  2. DNA鑑定でも生物学的父親ではないという結果がある。

判決理由は、父子関係に関する法律の規定を十分に理解している内容といえるでしょうか。

まずは基本的な親子関係について民法その他の法律の規定から検討を始めましょう。

父子関係に関する法律の規定について

1.嫡出子の場合

  1. 出生届出人は、父又は母のどちらか一方からの届出でよい。
  2. 証明資料は、実母については医師等による出生証明書、実父については戸籍の婚姻の記載。
  3. 父が届け出た場合は、嫡出否認の訴えができない。
  4. 母が届け出た場合は、夫は子の出生を知った時から1年以内に嫡出否認の訴えができる。
  5. 嫡出否認の訴えを提起しないで夫が死亡した時は、相続権を害される者等も嫡出否認の訴えができる。

該当する規定は次の通りです。

民法第772条(嫡出の推定)
1 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

戸籍法第52条(届出義務者)
1 嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚した場合は、母がこれをしなければならない。
2 嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。
3 記載省略。
4 記載省略。

民法第776条(嫡出の承認)
  夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。

民法第774条(嫡出の否認)
  第772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。

民法第777条(嫡出否認の訴えの出訴期間)
  嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。

人事訴訟法第41条(嫡出否認の訴えの当事者等)
1 夫が子の出生前に死亡したとき又は民法第777条に定める期間内に嫡出否認の訴えを提起しないで死亡したときは、その子のために相続権を害される者その他夫の三親等内の血族は、嫡出否認の訴えを提起することができる。この場合においては、夫の死亡の日から一年以内にその訴えを提起しなければならない。

2 夫が嫡出否認の訴えを提起した後に死亡した場合には、前項の規定により嫡出否認の訴えを提起することができる者は、夫の死亡の日から六月以内に訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、民事訴訟法第124条第1項後段の規定は、適用しない。

2.嫡出でない子の場合

  1. 出生届出は、母がしなければならない。
  2. 証明資料は実母については医師等による出生証明書、実父については実母届出の出生届書に記載された子の父の氏名、本籍等の一致
  3. 父又は母は、子を認知することができる。
  4. 法律上の認知とは、他方の実親を明らかにして届け出ること。
  5. 認知した父又は母は、その認知を取り消すことができない。

該当する規定は次の通りです。

戸籍法第52条(届出義務者)
1 嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚した場合は、母がこれをしなければならない。
2 嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。
3 記載省略。
4 記載省略。

戸籍法第49条(出生届)
1 出生の届出は、14日以内(国外で出生があつたときは、3箇月以内)にこれをしなければならない。
2 届書には、次の事項を記載しなければならない。
一 子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別
二 出生の年月日時分及び場所
三 父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍
四 その他法務省令で定める事項
3 記載省略

民法第779条 認知
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

戸籍法第60条 任意認知
認知をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 父が認知をする場合には、母の氏名及び本籍
二 記載省略

民法第785条 認知の撤回の禁止
認知した父又は母は、その認知を取り消すことができない。

3.以上から実親子の規定の根幹は何か

  1. 出生届出には、法律で証明資料が要求されています。
  2. 届書に不備がなく戸籍に記載された後においては、届出人は実親でないことを証明しても実親子関係を解消することはできません。
  3. 夫が嫡出子出生届出人でない場合は、期限内に嫡出否認の訴えができます。

検証1:父に該当する法律の規定は何か

1.非嫡出子の場合、父も母も届出人になります

非嫡出子であっても子の出生時に父母が婚姻しているときは、父母がともに出生届出人になって嫡出子出生の届出をすることができますが、届出の効力は認知です。
すなわち、実親子関係の効力を生じさせるには、父も母も届出人になることが必要です。

民法第789条 準正
1 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
3 記載省略。

戸籍法第62条 準正子の嫡出子出生届による認知の効力
  民法第789条第2項の規定によつて嫡出子となるべき者について、父母が嫡出子出生の届出をしたときは、その届出は、認知の届出の効力を有する。

検証2:裁判は重要な要件事実を見落としています

婚姻中出生した嫡出でない子について、父母が揃って届出人となって嫡出子出生の届出をして認知の効力が生じた場合は、民法第785条(認知の撤回の禁止)により認知を取り消すことはできません。
戸籍に記載された実親子関係は確定します。

しかしながら、嫡出子出生届書に不備があって行政がその不備を見過ごして戸籍に記載した場合は、認知無効の訴えができると思います。

行政の不備を指摘するには、戸籍に記載されている長男の出生届出人を確認しておかなければいけません。

届出人が母のみの場合は、実母については実親子関係は確定し、実父については親子関係は確定していません。

届出人が父のみである場合は、実父母ともに実親子関係は確定していません。

その根拠は、非嫡出子の場合、戸籍法第52条第2項及び戸籍法第62条により、出生届出は母が先に届出るか若しくは父母が同時に届出人になるかのいずれかに規定されているからです。

検証3:認知無効の訴えを父が出来る場合とは

父は次のことを確認することが必要です。

  1. 戸籍で長男の出生届人の確認
  2. 出生届書を閲覧等することも必要でしょう。

戸籍法第48条第2項に「届書等の閲覧」に関する規定があります。

第48条
1 届出人は、届出の受理又は不受理の証明書を請求することができる。
2 利害関係人は、特別の事由がある場合に限り、届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し、又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができる。
3 記載省略

戸籍法施行規則第48条および第49条に、届書等の保存期間についての規定があります。

第48条
(1) 戸籍の記載手続を完了したときは、届書、申請書その他の書類は、本籍人と非本籍人とに区別し、事件の種類によつて、受附の順序に従い各別にこれをつづり、且つ、各々目録をつけなければならない。但し、市町村長は、相当と認めるときは、事件の種類別に分けてつづることを要しない。

(2) 前項の書類で本籍人に関するものは、一箇月ごとに、遅滞なく管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局にこれを送付しなければならない。

(3) 第一項の書類で非本籍人に関するものの保存期間は、当該年度の翌年から一年とする。

第49条
(1) 前条第二項の規定によつて送付された書類は、受理し、又は送付を受けた市役所又は町村役場の区別に従い、年ごとに各別につづって、これを保存しなければならない。但し、分けてつづることを妨げない。

(2) 前項の書類の保存期間は、当該年度の翌年から二十七年とする。

出生届書に不備があるにもかかわらず戸籍に実父母の記載がされた場合は行政の責任を問うべきで、認知無効の訴えの相手方は行政になるはずです。

親が子に対して認知の無効や取り消しを訴えることができる規定はありません。

検証4:訴訟代理人及び裁判官の問題点

判決理由から父の訴訟代理人及び裁判官の問題点を検証してみましょう。

判決理由の一つに、民法第772条(嫡出性の推定)の規定に該当しないから父子関係はないと判断しています。
法律の専門家としてはあまりにも単純な判断に驚かされます。

法律は、認知によっても父子関係が生じると規定されています。
嫡出子に該当しなかったら、続いて非嫡出子に関する諸規定に照らして判断しなければなりません。

訴訟代理人及び裁判官は、非嫡出子に該当する子の嫡出子出生届出人は誰になっているか、認知の効力は有効に生じていたかという事実を確認していたのでしょうか。

戸籍に記載されている実親子関係について認知の場合は、親が子に対して親子関係がないという訴えができる規定がないのに、なぜ訴訟代理人はそのような訴えを提起したのでしょうか。

この裁判は、訴訟代理人及び裁判官双方に要件事実や法律の適用解釈に重大な落ち度があったといえます。