1.医原病解明の必要性

顎関節症の発症原因は歯科医師による医療過誤が原因なので、顎関節症は医原病です。
顎関節が偏位するとそこを起点として四方八方へとなだれ込むようにして全身の細胞のメカニズムを乱していきます。顎関節症は万病のもとです。
自然科学の論理なき医療行為は新たな病気の発症を招き、病因の解明をしないままに病巣を治療する行為は種々の新たな医原病の発症につながり患者を苦しめていきます。

2.三権の法解釈の誤りによる違法行為を国民が指摘する必要性

実親子関係に重大な影響を及ぼす出生届出や衆議院解散等、三権(国の統治権の立法権、司法権および行政権)の誤った判断や恣意的な法解釈による違法行為は、法治国家を否定する行為です。
国民は憲法や法律の規定、法令用語の常識を根拠にその誤りを指摘して、国民の力で法治国家を守り秩序ある社会にしていきましょう。

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5.順天堂医院赤ちゃん取り違えについて

赤ちゃん取り違え被害者のこれまでの経緯について

50年ほど前に順天堂医院で出産した赤ちゃんについて取り違えがあったことが、週刊新潮によって報道されました。
 「デイリー新潮」、「子のインタビュー」、「母親の告白」、「NHK NEWS WEB」の情報をまとめると次の通りです。

pdf デイリー新潮2018年4月19日(ページの末尾に心情を語った子のインタビュー動画があります)
pdf デイリー新潮2018年4月26日
pdfデイリー新潮2018年4月28日被害者母の告白
pdfNHK NEWS WEB

  1. 母親は50年ほど前の1967年1月半ばに順天堂医院で嫡出子を出産した。
  2. 母親は出産直後の子を見た時、あごの辺りに青いアザがあった記憶があるがいつのまにかなくなっていた。
    子が成長するにつれ周辺の人々から親子は似ていないとよく言われた。
  3. 小学校入学後に子の血液型が「A型」であることがわかり、夫婦、母親の両親、兄弟全員が「B型」なのに「A型」の子が生まれるはずはないとして数回順天堂医院に通って取り違えが起きていないか確認を求めたが、対応は冷たく「これ以上求めるなら裁判を起こしてください」と言われた。
  4. 母親は父親から浮気を疑われ離婚に至り、子は親類の家に預けられて高校にも行けなかった。
  5. 子は3年前に母親から「自分の子供ではない。本当のことを伝えないまま亡くなってしまうと事実がわからなくなってしまうから」と突然告げられた。
  6. DNA検査の結果、医院側は取り違えを認めた。

学校法人順天堂の判断

pdf学校法人順天堂のホームページ

学校法人順天堂はホームページで次のように述べています。

「取り違えの相手方当事者様は、当院に保存してあった過去のカルテにより、確定ではありませんが、ある程度絞られました。

しかしながら、退院後約50年に亘り親子関係や社会関係を築いておられると推測されることから、さらに調査し、ご本人様やその親である方にお知らせすることが適切かどうかについて、慎重に検討を行いました。

この問題については、さまざまな考え方がありうるものと思料いたしますが、専門家の意見を基に、50年以上経過後にお知らせすることによって、現在の平穏な生活を乱し、取り返しのつかないことになるのではないかと考え、お知らせしないことといたしました。
また、この事態を公表すること自体も、相手方当事者様にとって望まない結果になりうることを懸念して、当院からその時点での公表を差し控えることといたしました。

しかしながら、本事案が週刊誌に掲載されたことを受けて、当のご本人様あるいはご家族からお問い合わせがある場合には、誠意をもって適切に対応する所存です。」

検証1:順天堂の判断は、法律上許されません

順天堂は専門家の意見を基にした判断と述べていますので、文面全体から法律の専門家である弁護士が含まれていると思います。
ところが文面には民法、戸籍法、刑法の法律に基づいた内容が全く見当たりません。

法律の観点から順天堂の判断の是非を検証していきましょう。

  1. 法律上、実親子関係は生物学的関係にあることが原則ですが、生物学的関係にないことを知りながら出生届出あるいは認知届出をした者についてはその取消を認めていません。
    戸籍に記載された内容で実親子関係が確定します。
  2. 民法第772条に規定する「嫡出性の推定」に該当する場合は、戸籍法第52条により届出人は父又は母のいずれか一方からの届出で嫡出子の届出が受理されますが、受理された後において父についてはその取消しが認められる例外規定があります。
  3. 夫婦の戸籍上の婚姻期間により出生した子は嫡出子の推定を受けるけれども、事実は嫡出でない子の場合に母が嫡出子として届出た時は、父は嫡出性を否認することができます。(民法第774条)
  4. 父が嫡出子として出生届出をした時は、後に父の子でないことがわかっても父は嫡出性を否認することができません。(民法第776条)

以上を総合して考えると赤ちゃん取り違えによる場合の出生届出は、父母と子がともに生物学的関係にある嫡出子の届出をするという届出人の意思に反した内容であり、不実な届出になりますので戸籍上においても実親子関係の効力がないことは明らかです。

嫡出子の出生届出をした親には何ら過失や故意がないのに、子が小学1年生になった時に生物学上の親子でないことがわかって順天堂に調査を依頼しても適切な対応をしなかった順天堂の責任は重く、許されるものではありません。

刑法第157条「公正証書原本不実記載等」は次のように規定しています。

  1. 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
  2. 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
  3. 前2項の罪の未遂は、罰する。

公務員に対し虚偽の申立てをすることになった原因は順天堂にあり、赤ちゃん取り違えがわかっていてもなお他方の関係者には事実を知らせないままの状態にしておいてよいと判断する順天堂の責任は重大であり、悪質といわざるを得ません。

公正証書原本に不実記載がされた原因は順天堂にあり、かつその是正ができるのは順天堂だけです。

被害者が生物学的親子関係にある当事者を知る手だての全くない中、母親は実子を、子は実父母を知りたいと願っている現状において、取り違えを知った一方だけに損害賠償をして済む問題ではなく、他方への賠償とともに戸籍の記載が出生届出人の意思に基づいた内容になるよう順天堂は対処すべきなのに、これに反する順天堂の態度は法律上も社会通念に照らしても許されるものではありません。

検証2:順天堂のホームページの問題点

順天堂はホームページで次のように述べています。

「本事案が週刊誌に掲載されたことを受けて、当のご本人様あるいはご家族からお問い合わせがある場合には、誠意をもって適切に対応する所存です。」

ここで問題にしたいのは他方の子の生年月日や血液型をホームページに記載していないことです。

ホームページには年齢も「退院後約50年」という曖昧な記載だけです。

「1967年1月半ばに出生し、他方に引き取られるべき子の血液型はA型であるがB型の子が引き取られた」、この情報がない限り他方の関係者に「もしや自分の子が取り違えになっているのではないか」という疑念を抱かせることは相当に難しく、順天堂はその機会を奪っていることにもなり、この点においても順天堂は無責任すぎます。

加藤厚生労働大臣のコメントの問題点

pdf加藤厚生労働大臣のコメント

取り違えの報告を受けた1週間後の加藤厚生労働大臣のコメントは、次の通りです。

「取り違えが起こったことは、誠に遺憾でありまして、あってはならないことであります。
順天堂医院から届けられた報告書によれば、出生直後に母親の目の前で新生児にネームバンドを取り付ける対策が、今、すでに取られているということであります。
これは、多くの医療機関でも、取り組まれている方策であり、今後同様の事例の再発が絶対に起きないよう、この対策の徹底を望みたいと思っているところであります。」

加藤厚生労働大臣のコメントは、取り違えが判明した時にそれを解決しようとする意図が全くない内容です。

コメントは、出産に従事する医療機関、医療従事者にとって昔から守られるべき当然の内容を述べたに過ぎません。

ここでコメントすべきことは、取り違えが起こった場合の法に基づいた対処についてでなければなりません。

加藤厚生労働大臣のコメントは順天堂の対応を容認し、出生届出人の意思に反した戸籍の不実記載を法律上の実親子関係と認められるという判断をしている内容といえましょう。

 ま と め

多くの医療過誤は、情報が医療機関、医療従事者の一方のみにあって被害者は事実を明らかにできないのが現状です。
そのため被害者は心身の苦しみだけでなく、経済面や家庭崩壊など様々な不幸に襲われることになります。

医療事故が生じた時に取り締まる関係機関が、医療機関や医療従事者に対して法や社会通念の論理に基づいて厳しく対処しない限り、順天堂のような無責任な対応が終始し続いて問題解決が図られないことは憂うべきことです。

今後も赤ちゃん取り違えが絶対起こらないとは限りませんので、これを機会に加害者の無責任な対応を処罰し、取り違えが発覚したときは速やかに真実を双方に明らかにして対処することが医療機関、医療従事者に課せられた義務であることを明確にすることが重要と思います。