顎関節症は医原病であり、万病のもとです

歯科医療過誤は全身を蝕みます。
自然科学の論理なき医療行為は、新たな病気の発症を招きます。それは医原病です。

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7.基本三要素が欠けている歯科医療

患者が考える歯科医療の基本三要素とは何か

噛み合わせの他に歯科治療において医師が注意を要する重要な三要素、そしてその三要素の一つが少しでも狂ったら絶対に元に戻らずに体全体に悪影響を及ぼすものがあるとしたら、それは何でしょう。

私は、①咬合高径、②歯軸方向、③咬合圧の三つを挙げます。
医療情報が氾濫している現在でも、医師がこれらの用語の重要性について説明しているのを耳にした方は少ないでしょう。

1.咬合高径とは何か

顎口腔の構造

天然歯を削られて歯が短くなったら、筋肉の調和が崩れて下顎が偏位し、下顎頭が正常な場所に位置することができなくなることはA図から理解できると思います。

咬合高径とは、下顎頭が閉口時に関節隆起内に正しく納まり、顎口腔周辺の全ての筋肉に緊張(突っ張りや圧縮、ねじれ)が起こっていない状態を保つことのできる歯の高さ(長さ)です。

ラジオで歯科医療相談を聴いていたとき、次のような問答がありました。
相談者「治療している歯とは別の健全歯を何も言わずに削られ、その後噛み合わせが悪くなり体調が良くない。」
回答者は某大学大学院教授でしたが、「何も言わずに削るのは良くない。事前にことわって削ったほうがよかった。私どもでは患者にことわってから削っている。削られたことによって噛み合わせが悪くなったのではなく、ストレスや別のことが原因だと思います。」

このように天然歯を削って咬合高径が変化すると、どのようなメカニズムで身体に影響が生じるか、それを全く考えない医師の知識が歯科医療界の常識ですが、多くの患者はそれが歯科医療過誤の最大の原因であるとわかりながらそのメカニズムを説明できないために、医師とまともな会話が成立しない実情があります。

顎関節症治療の一つにスプリント療法があります。

スプリント スプリント装着

B図がスプリント、C図がスプリントを装着した状態です。

C図の状態を専門用語でいうと「咬合高径を挙上した状態」ということになります。歯の長さが長くなったことと同じです。このようなことをしたら下顎偏位や筋肉異常が生じて異常が拡大するのは当然と今では誰もが納得できるようになったと思います。

スプリント治療は医師から長時間の装着を指示されますので、筋肉は突っ張ったり、圧縮したり、ねじれたり、下顎頭は関節隆起内に安定して納まることは不可能ですから下顎が複雑に偏位していくのは自明の理です。

スプリント治療の過程で患者は苦痛を訴え、次にはその箇所が楽になったが別の箇所に苦痛が現れたという訴えを繰り返していくことになり、カルテにはその主訴が記載されます。
ところが医師は、スプリントとその削合がどのように作用して患者の主訴が変化しているのかを全く分析考察できないのですから、患者の体は複雑に悪化していくばかりです。
医師の間では苦痛を「憎悪」、楽になったことを「寛解」と称し、寛解はスプリント治療の効果と考えているようですが、とんでもない誤りです。

首の筋肉の構造

テレビに映る多くの人々の首に現れている異常な状態を見て、皆さんは疑問に思ったことはありませんか。

噛み合わせや咬合高径に異常が生じると筋肉は正常な伸縮の限界を超えて異常に伸ばされたり、圧縮したり、ねじれたりします。
D図のように首には多数の筋肉が、複雑に組み合わされていますので、筋肉の異常は複雑になります。

D図にある胸鎖乳突筋についての詳しい内容は次の通りです。

PDF胸鎖乳突筋の起始、停止、主な働き、神経支配

出典:胸鎖乳突筋

噛み合わせや咬合高径の異常が下顎を偏位させ、周辺の筋肉に異常をもたらし、胸鎖乳突筋にも影響が及び、首を少し動かしただけでも胸鎖乳突筋に現れる症状が目に見える状態で現れているのが、テレビに映る多くの人々の首の様子です。

各筋肉には、「起始部」と「停止部」がありますが、胸鎖乳突筋は頭部と胴体をつないでいる筋肉であることがわかります。
このように歯科医療過誤によって、頭部、胴体、四肢に異常が及ぶメカニズムは、次から次へと流れるように異常が伝わっていくからです。
歯科治療後に生ずる不定愁訴や体調不良は、生活習慣やストレス、加齢等患者側に原因があるのではありません。

頚部は、血液供給の他に呼吸、嚥下等生命に欠かせない通り道であり、甲状腺や声帯にも影響が及びます。

ついでに僧帽筋についても調べてみましょう。

PDF 僧帽筋の起始、停止、主な働き、神経支配

出典:僧帽筋

噛み合わせや咬合高径の異常は、僧帽筋を通して胴体や腕の神経にまで影響が及ぶことがわかります。
肩や腕の付け根、背中に異常を覚えた方は多いと思いますが、僧帽筋に異常が生じた結果の現象です。

2.歯軸方向とは何か

歯軸方向

歯周組織は垂直圧に強く、側方圧に弱い。また、瞬間圧にはよく耐えられるが、持続圧には耐えきれない。

歯に側方圧が加わった場合には、歯根の中の支点を中心として歯の傾斜が起こる。この傾斜に伴って歯根膜繊維の一部には圧迫が起こり、一部には牽引が起こるので、垂直圧のようにすべての歯根膜繊維が均整のとれた機能を発揮することはできない。かつ、このような側方圧が強ければ強いほど、圧迫部や牽引部には外傷が起こりやすい。

臨床的に重要な点は力の作用点である。萌出間もない健全な上下の歯の咬合関係を咬合紙を用いて調べてみると、丸味を帯びた鋭い咬頭の頂点が対合歯の中心窩などと咬み合っている。

これに対して咬耗が進み、あるいは歯の動揺もみられる場合には、歯冠の側面まで広く咬合紙で印記されることが多い。このように力の作用点が頂点から脇腹に拡大移動することは、垂直圧が側方圧に変わることを意味している。』

E図及び上記『』内はともに「歯周治療学第2版-石川純編集(医歯薬出版株式会社)」からの引用です。

以上から次の結論を導くことができます。

(1)スプリントを装着すると、歯周組織に持続圧が続き、かつ、力の作用点が常に変化するため歯は多方面からの側方圧にさらされることになります。
(2)咬合紙によって印された箇所を削っていく治療方法は、歯科医師が歯軸方向に全く無関心であることを示しています。

3.咬合圧とは何か

咬合高径や歯軸方向の異常が原因となって歯に異常な咬合圧がかかると、歯を包んでいる歯周組織に異変が生じます。

以下『』内は、「歯周治療学第2版、石川純編集、医歯薬出版株式会社」からの引用です。

『歯に加わる非生理的な外力によって、歯周組織には炎症性破壊とは全く異なった外傷性の破壊が起こってくる。

この外傷とは、いわゆる怪我と類似した歯根膜の断裂、挫滅、出血のような変化も含まれるが、その正体は進行性病変である。すなわち、変性、萎縮、壊死、圧迫性骨吸収などによるもので、これを咬合性外傷といい、その原因となる咬合状態を外傷性咬合と呼んでいる。

なお、これらの用語は原因と結果を表すものであるが、きわめて似ているので同義語のように混同して用いられることが多い。』

「咬合性外傷」と「外傷性咬合」の違いを正しく理解することが重要です。
歯をむやみに削られて起こる咬み合わせの異常が、「外傷性咬合」
咬み合わせの異常によって、歯周組織を含めた顎口腔周辺に生じる異常が、「咬合性外傷」

咬合性外傷の発生条件
歯周組織に咬合性外傷が起こるか否かは非生理的な力が歯に強く加われば、それだけ組織は危険にさらされるし、歯周組織が破壊されていればいるほど、元来は生理的な外力でも暴力的な影響を与える。
外力とは、単に何㎏の荷重というような単純なものではなく、力の質や量や時間が問題となり、列挙すればつぎのようである。
(1) 力の方向や作用点;垂直圧か水平圧か(または咬頭頂か歯冠側面か)
(2) 力の持続時間:瞬間圧か持続圧か
(3) 力の強さ:何㎏の荷重か 』

以上のことからもわかるように、医師が歯科治療の初期段階ですでに医療過誤を発生させているにもかかわらず、異常に対して体の構造やメカニズム、治療内容、患者の主訴を医師が論理的に分析考察できずに漫然と咬合調整やスプリント治療を続けているため、患者の体は噛み合せの異常の拡大ばかりでなく歯周組織等広範囲に悪影響が及んでいきます。

体の構造やメカニズムの知識が全くない患者は、全身を覆う不安定な不調を断片的に説明することしかできず、そのためいたずらにいくつもの診療科を受診したり、検査が行われたり、医薬品の投与を受けている現状は、早期に打破しなければなりません。

歯科医療過誤で提訴しても、カルテの改竄、歯型や撮影画像の隠蔽、被告側の論理的説明の欠如に阻まれ、さらに鑑定人が被告と同じ知識のために原告敗訴になることが多く、医療の過ちが正されずに被害が拡大しているのが現状です。

最近テレビに出演する機会の多い人が突然に体調不良で仕事をキャンセルしていますが、多くに歯科治療を受けた様子が見受けられ、顔や首等に異常が現れていました。
このような状態に陥っている一般の人も多いと思います。見過ごしてはならない現象です。