顎関節症は医原病であり、万病のもとです

歯科医療過誤は全身を蝕みます。
自然科学の論理なき医療行為は、新たな病気の発症を招きます。それは医原病です。

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6-1.嫡出でない子に無戸籍が生じるのは、法務省の誤った法解釈が原因です。

嫡出否認権は夫のみの権利ではなく、妻にも嫡出否認権を行使できることが戸籍法に規定されています。最高裁裁判官が「決定書に記載すべき「意見」、それは「ある問題に対する主張・考え」を表示しない決定書は法律違反になります。

30年前に暴力が原因で夫と別居し、別居中に出産した別の男性との間の子が無戸籍になった原因は、嫡出否認の権利を男性にだけ認めた民法の規定が違憲であるとして提訴された裁判の一審及び二審の判決については無戸籍の子の母親へに掲載しました。

2020年2月8日付の日本経済新聞記事によると
2020年2月8日付の日本経済新聞記事
控訴審で敗訴した女性らの上告に対し、最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)は、2020年2月5日付で上告を退ける決定をしました。

民法の規定が合憲なのは道理に叶っているからですが、意見の表示がなく「上告に当たらない」という定型的な文面だけで上告を退けた第二小法廷の岡村和美裁判長以下裁判官全員の無責任を国民は看過してはいけません。

最高裁判所は一部の例外を除き上告事件のほとんどを「上告理由に当たらない」とみなして、三行決定という略式書面の形で棄却し、その数は最高裁判所が出す判決・決定の9割以上にもなるそうで、最高裁第二小法廷の決定も公開されていませんが、三行決定であったものと思われます。

三行決定記載例は下記の通りです。

三行決定(さんぎょうけってい、みくだりけってい)とは、最高裁判所が毎年大量に出す例文棄却決定のこと。調書の形で出る場合と決定書の形で出る場合の2種類がある。
日本では最高裁判所が終審裁判所としての地位を有しており、下級審にて敗訴した当事者が徹底して争う場合には最高裁判所への上告ないしは上告受理の申立てがなされることが多い。
しかし、最高裁判所裁判官の定員はわずか15名と極端に少ないため、上告に必要な要件は著しく限定されており(上告#概要)、最高裁判所は一部の例外を除き上告事件のほとんどを「上告理由に当たらない」と見なして、三行決定という略式書面の形で棄却するものである。
当然ながら口頭弁論は開かれず、書類審理と書面通知のみである。
なお、元最高裁判所裁判官の伊藤正己(学識経験者出身)によると、最高裁判所が出す判決・決定の9割以上は三行判決(三行決定)であるという。

三行決定の例

決定
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
上記当事者間の(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡)高等裁判所平成yy年(ネ)第nn号損害賠償事件について,同裁判所が平成yy年mm月dd日に言渡した判決に対し,上告人兼申立人から上告及び上告受理の申立てがあった。よって,当裁判所は次のとおり決定する。

主文
本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。
上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。

理由
1 上告について
民事事件について最高裁判所に上告が許されるのは,民訴法312条1項及び2項所定の事由に該当する場合に限られるところ,本件上告理由は違憲及び理由不備をいうが,その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものに過ぎず,明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2 上告受理申立について
本件申立ての理由によれば,本件は,民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

平成yy年mm月dd日
最高裁判所第n(n=1~3)小法廷
裁判長裁判官 ** 以下5名

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

最高裁の裁判書(判決書・決定書・命令書)が、上記決定書の雛型の内容だけでは法律違反になります。

裁判所法第2編最高裁判所第11条に「裁判書には、各裁判官の意見を表示しなければならない。」と規定されていますので、下級裁判所の裁判官には求められていない「意見」を最高裁裁判官は裁判書(判決書・決定書・命令書)に表示しなければなりません。
その理由は次のようですが、私はその他にも「意見」が必要な大きな理由があると思います。
それは、最高裁は法律審なので下級審で認定された事実に対して、該当する法律を適示してその法解釈を示すことが最高裁の最大の任務と思います。

したがって、最高裁の判決書に「各裁判官の意見を表示すること」が必須になるのは当然で、下級審は事実認定に重きが置かれ、最高裁は認定事実に対して憲法や法律の規定が適法に適用されているかを判断することが重要になりそのために裁判所法第11条が規定されていると思います。

三行決定例にあるように「民事訴訟法第312条1項及び2項及び第318条1項」に規定する事由に該当しないという理由のみは「意見」にならず、裁判所法第11条に規定されている意見を表示しないで上告を一蹴することは許されません。

●各裁判官の「意見」が表示されるのは,最高裁の判断だけ
  三審制を採用しているわが国における判決等の裁判は,地方裁判所,高等裁判所,最高裁判所など,それぞれの審級における裁判があります。
  しかし,最高裁判所における裁判のみが,他の審級の裁判所の場合と違って各裁判官の「意見」が表示され,他の裁判は,合議体(複数の裁判官で構成される裁判所のことです。)の場合に,かりに各裁判官間で意見が分かれたとしても,裁判においてはそのような意見の違いは表示されることはなく,結論しか表示されません。

裁判所法11条は,最高裁について「裁判書には,各裁判官の意見を表示しなければならない」と規定し,他方,最高裁判所以外の場合には,合議体の裁判における評議の内容・各裁判官の意見については,秘密を保持することを要求しています(裁判所法75条2項後段)。
このような評議の秘密の規定を設けた趣旨は,裁判官間における自由な意見の確保や裁判の権威を守るため等の点があげられます。
よって,最高裁以外の裁判においては法廷の意見とならなかった個人的見解などは公表されないわけです。

●最高裁判所だけが異なる趣旨は?
  では,どうして最高裁判所だけ取り扱いが異なるのでしょうか。
  英米ではむしろ個々の裁判官が裁判の理由を述べるのが原則とされており,戦後米国の影響を受けて改正されたわが国の裁判制度も,最高裁判所だけは英米のそれにならって個別意見の表示を取り入れたとされています。
そして,最高裁で意見を表示する趣旨は,衆議院議員総選挙の際に行われる最高裁判所裁判官の国民審査の資料とする点にあるとされているのです。

●各裁判官の「意見」の内容
  多数意見・法廷意見と同じ結論に至った少数意見として,さらに「補足意見」と「意見」とが示される場合があります。
  「補足意見」は,多数意見の理由・論理の補足の説明です。多数意見が,どうして,そのような判断となっているのかという理解が深まります。
「意見」は,多数意見が採用した理由・論理とは異なる理由・論理を採りながらも,結論は多数意見と同じとなったものです。本件とは異なる事案において,考え方の参考となります。

出典:弁護士 濱門俊也ブログより

「意見」の意味はデジタル大辞泉によると次の通りです。

1 ある問題に対する主張・考え。心に思うところ。「意見を述べる」「意見が分かれる」「少数意見」「賛成意見」
2 自分の思うところを述べて、人の過ちをいさめること。異見。「同郷の先輩が意見する」

出典:デジタル大辞泉

上記「三行決定の例」に「よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。」と記載されていますが、意見、すなわち「ある問題に対する主張・考え」が何一つ述べられていないので、「三行決定の例」のような決定文では裁判所法第11条規定の義務を果たしていないことになります

本裁判における「ある問題」とは、嫡出否認の意思表示ができるのは夫だけでなく妻にも認められているという法律の規定とその解釈を最高裁第二小法廷は意見にして表示することです。

検証1:嫡出否認の提訴権を夫だけに認める民法の規定が合憲である理由

嫡出否認の訴えの提訴権を夫だけに認める民法の規定が合憲であることは無戸籍の子の母親へで詳しく述べましたので、ここではそのうちの要点のみを記載します。

母が嫡出子として出生届書の子の父の欄に夫の氏名を記載して届出たときに、夫が自分の子ではないと思ったら夫は嫡出否認の訴えができます。

夫が嫡出子として出生届出をしたときは、夫は嫡出子であることを承認したことになり民法第776条により嫡出否認権を失います。

婚姻中の妻は、戸籍法第49条及び第52条により、「嫡出子」又は「嫡出でない子」の別を示して出生届書の父親の欄に子の生物学上の男性の氏名を記載して届出ることができるので、提訴によって嫡出否認権を行使する必要はありません。

このように嫡出性の推定に該当する子については、民法と戸籍法の両輪で考えなければいけません。

法律は種々の観点から様々に分類されていて実親子関係はその分類中「実体法と手続法」の区分に属します。
この概念の理解なしに嫡出否認ができる権利者を論じることは法律の基礎知識がないことになります。

「実体法と手続法」は、デジタル大辞泉の解説によると次の通りです。

実体法は
権利・義務の発生・変更・消滅の要件などについて規定する法。民法・商法・刑法など。→手続法

手続法は
実体法の運用手続きについて規定する法。民事訴訟法・刑事訴訟法・戸籍法・不動産登記法など。→実体法

出典:実体法手続法

以上から実親子関係に関する法律は、「権利・義務の発生・変更・消滅の要件などについては民法」、「戸籍への運用手続きについては戸籍法」ということになります。
実親子関係について論じる場合、民法と戸籍法の両輪の解釈が必然になります。

法律の分類に基づいて法規を合理的に規定することは重要なことで、親子関係についても「実体法と手続法」の両分類で調和が図られています。

実体法と手続法の両輪で解釈しないために誤った解釈をしているのが「通説」であり、正しい法解釈との違いは次の通りです。

項目 相  違  点
通説 嫡出性推定の規定に該当する場合は、血縁関係の有無にかかわらず夫が子の父となる。
これは早期に子供の戸籍を確定して扶養義務を負う父親を法的に明確にすることが、子供の利益や権利保護につながるとの考え方に基づく。
正当な解釈 実親子関係は生物学的根拠に基づくのが原理原則であり、嫡出性推定の規定によって自動的に父子関係が確定するのではなく、あくまでも出生届出人の自由意思に基づく法律行為によって定まる。

婚姻を基準に子の嫡出性を推定する規定は、1898年施行の明治民法から改正されることなく今日まで引き継がれている制度ですが、この規定は「婚姻関係にある夫の子とみなす規定ではなく」、婚姻に関係なく男女の肉体的関係によって子は誕生するので、妻が出産した子であっても嫡出性推定に該当しないときはその意思表示の方法を新旧戸籍法のそれぞれの時代に即した実情て運用手続きを規定しています。

1898年施行の明治民法制定当初から父や母の自由意思に基づいて生物学上の父を戸籍に記載できるように戸籍法が規定されていることを以下で確認しましょう。

検証2:民法と明治戸籍法の関係

明治戸籍法第72条に「夫は妻の子の嫡出なることを否認せんとする場合と雖も第71条第1項の規定により、嫡出子出生の届出は父より出生の届出を為すことを要す」と規定されていましたので「嫡出子の推定に該当する子」は、必ず嫡出子としての届出をしなければなりませんでした。

嫡出でない子と思う場合は、民法と明治戸籍法の関係から夫は先に「嫡出否認の訴え」をしてから「嫡出子出生届出」をすることになります。

先に「嫡出子出生届出」をすると「嫡出子を承認」したことになり、嫡出子否認の訴えはできないことになります。

以上から嫡出子であるか否かにかかわらず出生した子を嫡出子として出生届出させることにより、子は無戸籍になりませんでした。

検証3:民法と大正戸籍法の関係

大正戸籍法第72条夫はが削除され「嫡出子出生の届出は、父がこれをし、父が届出をすることができない場合又は民法第734条第1項,第2項但書きの場合においては,母がこれをしなければならない。」と改正されましたので、嫡出否認の訴えを提起した夫は出生届出人になれず、母が嫡出子として届出ることになりました。
嫡出子否認の訴えをした夫が、嫡出子出生届出をするのは矛盾するため「夫は」が削除されたものと思います。

以上から嫡出子であるか否かにかかわらず出生した子は、一時的であるにせよ嫡出子として戸籍に記載されることになり無戸籍になることはありませんでした。

検証4:民法と現行戸籍法の関係

現行戸籍法は、嫡出性の推定に該当する子は父または母のどちらか一方が出生届出人になって出生届出ができるようになりました。

昭和22年に制定された現行戸籍法は男女平等の時代になったことにより、嫡出性の推定を受ける子について必ず嫡出子として出生届出をしなければならなかった明治戸籍法や大正戸籍法のような無駄な手続きを排除し、最初から生物学上の親を子の実親として届出られるようにしました。

戸籍法の第49条及び第52条により父が出生届出をする時は嫡出子の届出になり、母が出生届出をする時は「嫡出子又は嫡出でない子」の別を明らかにして「子の父の欄」に子の生物学上の男性の氏名を記載できるようにしました。

届出た事項は後に届出人から記載事項の変更を認めていないため、夫が届出たときは嫡出子を承認したことになり、妻は妊娠時期に複数の男性と関わっていない限り出生した子の父がわかっているのですから出生届書の父の欄に真実を記載すればよいのです。
妻が嫡出でない子として届け出た場合、戸籍の子の父の欄は空白になりますが、のちに父からの任意認知または子の法定代理人等からの認知の訴えが認められたときは空欄になっていた父の欄に氏名が記載されます。

以上から現行戸籍法は嫡出性の推定に該当する子は、最初から出生届書の子の父の欄に生物学上の父の氏名を記載して届出ることができるようになり、夫が出生届出よりも先に嫡出否認の訴えを提起する必要もなくなりました。
嫡出でない子が無戸籍になる原因は法律上規定されていないことになります。

嫡出性の推定に該当する子が嫡出子でない場合に無戸籍にならざるを得なかった最大の原因は、法務省が法律用語の「推定」の意味を正しく解釈できなかったために母からの嫡出でない子としての出生届出を受理しなかったことが原因です。

検証5:やむを得ず子が無戸籍になってしまう場合

離婚前に夫でない男性の子を出産した場合、妻が嫡出でない子としての出生届出をすると夫婦の戸籍に父親の欄が空白になった子が記載されますので、妻が出生届出をためらうと子は無戸籍になります。
このような場合の子の無戸籍原因は、出生届出をためらう妻にあります。

婚姻関係が破綻して回復の見込みがない場合、離婚が成立すれば子は離婚後の母の戸籍に記載されますので子の無戸籍は早期に解決します。

このようなことが世間に周知されていれば子の無戸籍期間は生じてもそれは短期間と思いますが、法務省が嫡出子推定に該当する子は嫡出子出生の届出をしなければ届出を受理しないという誤った法解釈をし続けたために、多くの子を長期間無戸籍にしました。法務省の責任は重いです。

検証6:被告である「国」の主張

一審判決文中、国の主張部分は10頁下から7行目~15頁6行目までになりますが、次のように主張しています。

現行の嫡出推定制度は,夫婦間の子が嫡出子となることは婚姻による重要な効果であることから,出産の時期を起点とする明確で画一的な基準に基づいて父性を法律上推定し,父子関係を早期に定めることによって子の身分関係の法的安定を図る仕組みとして設けられている。 同制度は,父子関係を早期に定めることを重視しているため,法律上推定される父性が血縁上の父子関係と合致しない事態が生じることは制度上予定されている。

明治、大正、現行のいずれの戸籍法も、国が主張するような「早期に父子関係を確定するために嫡出性推定に該当する子は夫の子と決めつける規定」にはなっていません。

夫婦の実態が失われ,単に離婚の届出が遅れていたにとどまる場合など,実質的には民法772条の推定を受けない嫡出子であれば,夫からの嫡出否認を待つまでもなく,実父に対し認知の請求ができる(最高裁昭和44年5月29日第一小法廷判決・民集23巻6号1064頁)。
本件においても,これらの事情が存在する場合には,原告らは親子関係不存在確認訴訟により父子関係を争うか,又は嫡出否認を待たずに実父に対し認知の請求をすることができたと考えられる

「民法772条の推定を受けない嫡出子であれば」という文言に違和感を感じないところをみると、国は「嫡出子」の意味がわかっていないようですね。
「嫡出子」とは「婚姻中の夫婦の間に生まれた子供」を指します。
婚姻していない男女の間に生まれた子供は「嫡出でない子」といいます

「実質的には民法772条の推定を受けない嫡出子であれば」の表現はあり得ず、「実質的には民法772条の推定を受けない嫡出でない子であれば」という表現になるのが正しいです。

国が引用した最高裁昭和44年5月29日第一小法廷判決で認定された事実は下記の通りですが、適用される法律は現行の戸籍法になります。

 

原審の確定した事実によれば、被上告人らの母Dは、昭和21年訴外Eと結婚したが、同24年4月頃Eと事実上の離婚をして別居し、爾来同人とは全く交渉を絶ち、同26年10月2日正式に離婚したのであるが、それに先だつ同25年9月頃から同39年3月頃までの間上告人と肉体的関係を持続し、その間同27年3月28日被上告人B1を、同31年1月31日被上告人B2を各分娩し、同人らを自己の嫡出でない子として出生届をしたというのである。

事実上の離婚をして爾来夫婦の実態は失われ、たんに離婚の届出がおくれていたにとどまるというのであるから、被上告人B1は実質的には民法七七二条の推定を受けない嫡出子というべく、同被上告人はEからの嫡出否認を待つまでもなく、上告人に対して認知の請求ができる

婚姻期間中から夫以外の男性と肉体的関係を持ち、夫との離婚成立後179日目に出産した夫でない男性の子について母が嫡出でない子として届出てそれが受理されています。

現行戸籍法は昭和22年12月22日に制定、昭和23年1月1日施行ですので、判例の事件は現行戸籍法適用です。
現行戸籍法施行当初は戸籍法を正しく解釈し運用されていたことがわかります。

母が嫡出でない子として届出てそれが受理されたというのですから、出生届書の子の父の欄には離婚した夫の氏名ではなく「子の生物学上の父の氏名」が記載されていたことになります。

出生届書の子の父の氏名欄に夫の氏名が記載されていないのですから、夫に嫡出否認の提訴権を行使する資格がないのは明白です。
判決文中の「嫡出否認を待つまでもなく、上告人に対して認知の請求ができる」の表現は、民法や戸籍法の規定が理解できていない証拠です。

国は親子関係不存在確認訴訟により父子関係を争う方法もあったと主張していますが、法律に親子関係不存在確認訴訟ができる旨の規定はありませんので親子関係不存在確認の訴えはできません。
その理由は、親子関係不存在確認訴訟で以前に私が意見を述べました。

法律で嫡出性の推定を受ける子は夫の子と断定して法務省が嫡出子出生届出を強要する現状は、夫の側からすると自分の子でもないのに扶養義務を負わされたり、相続人になるのは不服だと思いますし、夫に複数の法定相続人がいる場合は他の相続人も不服だと思います。

国はこのような現実的な問題点に疑問を抱くこともなく、「嫡出性の推定は父子関係を早期に定めることによって子の身分関係の法的安定を図る仕組み」の主張は、法解釈の欠如以前に常識的な思考力も問われます。

現行戸籍法第53条「嫡出子否認の訴を提起したときであつても、出生の届出をしなければならない。」の規定がありますが、明治、大正両戸籍法当時は出生届出に嫡出でない子の旨の届出規定がなかったことから子の無戸籍防止のために嫡出子出生届出を義務付けていました。

現行戸籍法は夫からの嫡出否認の提訴権は、妻が嫡出子出生届出をした後に発生するため子が無戸籍になることはありませんので、戸籍法第53条は現行法においては不要な条文です。法務省はこの点についても気づいていないようです。

人事訴訟法の第2条定義に「実親子関係の存否確認の訴え」の記載があるも、第三章 実親子関係訴訟の特例に「実親子関係の存否確認の訴えの当事者等」の中に「実親子関係の存否確認の訴え」の規定がないのに、国(法務省)は裁判で「原告らは親子関係不存在確認訴訟により父子関係を争うことができた」と主張しました。あまりにも無責任な主張です。

さらに国は原告側が戸籍法に目を向けることがないように次のような主張もしています。

国の悪質さと原告の出生届出が受理されなかった理由は裁判官も一般論として認めているのに、原告主張は真実でないと認定した裁判官の悪質さについても下記で検証しましょう。

一審判決文より抜粋

1.原告の主張

(ウ) F(生物学上の父)は,昭和○○年○○月○○日,原告Aの出生届をa市b区役所に提出したが,夫であるEの嫡出推定が及ぶことを理由に不受理とされた。
原告D(母)は,E(夫)に原告Aの存在を知られることを恐れ,原告Aの出生届を提出することができなかった。

2.国の主張

c (ウ)のうち,Fが,昭和○○年○○月○○日,a市b区長に対し,原告Aを子とする出生届を提出し,同区長が,同届出につき,平成11年法律第160号による改正前の戸籍法49条及び同法52条1項に規定する要件を具備していないことを理由に不受理とした。

3.裁判官の事実認定

(3) Fが,昭和○○年○○月○○日,a市b区長に対し,原告Aを子とする出生届を提出し,同区長が,同届出につき,平成11年法律第160号による改正前の戸籍法49条及び同法52条1項に規定する要件を具備していないことを理由に不受理とした。

平成11年法律第160号の中央省庁等改革関係施行法は1344条もあり、戸籍法に関する箇所は308条にありました。
国は「戸籍法49条及び同法52条1項」と主張していますが308条には戸籍法第52条1項の記載はありません。

国が主張する「平成11年法律第160号による改正前の戸籍法49条及び52条1項に規定する要件を具備していない」とは、私はどのような部分が改正されたのか調べました。それはなんとあまりにも些細な部分でした。以下に示します。

中央省庁等改革関係施行法改正308条

改正個所の新旧対照を示すと次の通りです。
戸籍法改正新旧対照

改正になった個所は主要部分でない単なる表示の改正のみで本裁判にとっては、改正の前後で全く影響のない部分でした

法務省でありながら法規に対して真摯に向き合わずに何が何でも国を勝訴させるという態度を国民は看過してはいけません。

検証7:嫡出否認の訴えは夫だけの権利を違憲と主張した原告訴訟代理人の問題点

原告訴訟代理人は裁判で次のように主張しました。

  1. 子が非嫡出子となる場合でも,夫については嫡出否認権の行使を認めるのに対して,妻や子については嫡出否認権の行使を一切認めない区別に合理的な理由は存在しない。
  2. 無戸籍児が生まれる原因となっている民法774条~776条は、無戸籍の方が自らを戸籍に記載するための手続きについて憲法14条1項、24条2項に違反している。

訴訟代理人は、「無戸籍の子に嫡出否認権の行使や戸籍に記載する手続きができないのは憲法違反」と主張していますが、子は自分の生命誕生の原因になった男女を知る由もないのに何を証明資料として無戸籍の子が父母を特定して、嫡出否認権を行使したり戸籍に記載する手続きができると考えたのでしょうか?

認知の訴が提起出来るのは、民法787条により、「子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人」ですが、訴える相手を特定するには「母が届出た出生届書の子の父の欄に記載された男性」に対してです。

原告訴訟代理人は戸籍法に全く触れずに民法774条~776条のみを取り上げて憲法違反を主張していますが、このような落ち度は依頼人の委任趣旨に応えているとはいえません。

事実平成30年大阪高裁判決文に示された事実(抜粋)から、調停委員の数々の法律に違反する審判とそのような審判書で子の無戸籍を解消させた行政に驚きました。

これら法律違反を列挙しますが、日本が如何に法治国家でないかを証明する内容です。

無戸籍の子が戸籍を取得するまでの経緯(平成30年大阪高裁判決文より抜粋、以下のかっこ書きは当ホームページ作成者が付加しました)

  1. 控訴人D(母)が協議離婚した後、F(無戸籍の子の生物学上の父)は,同年○○月○○日,控訴人A(無戸籍の子)の出生届をa区長に提出したが,平成11年法律第160号による改正前の戸籍法49条及び52条1項に規定する要件を具備していないことを理由に不受理とされた。
  2. 控訴人A(無戸籍の子)は,F(生物学上の父)に対する認知調停を申し立て,平成 ○○ 年 ○○ 月 ○○ 日 認知を認める審判が確定した。
  3. また,控訴人A(無戸籍の子)は,母の氏に変更する許可を申し立て,平成 ○○ 年 ○○ 月 ○○ 日,申立てを認める審判がされた。
  4. F(生物学上の父)は,平成 ○○ 年 ○○ 月 ○○ 日,上記各審判書を添付して,控訴人A(無戸籍の子)の出生届を提出し, 平成 ○○ 年 ○○ 月 ○○ 日,控訴人D(母)の戸籍に控訴人Aが記載された。
  5. 控訴人Aは,それまで戸籍に記載されていなかった。

1.夫との協議離婚後、生物学上の父が子の出生届出をして不受理になっていますが、これは当然です

戸籍法第49条、52条により、夫と離婚後、母が出生届書に嫡出でない子として子の父の欄に生物学上の男性の氏名を記載して届出るのが法律の規定です。

2.出生届出がされていない子は当事者適格がないので認知調停の申立人になれません。

母からの嫡出でない子の出生届出が受理された後に生物学上の父の氏名が記載された出生届書を証明資料にして子は認知調停の申立人になれますが、本件の場合は調停の申し立てをしなくても、父に任意認知の意向が窺えますので母が出生届出をした後に生物学上の父が任意認知の届出をすれば済むことでした。

3.認知を認める審判が確定した

認知調停申立の要件を満たしていない調停で審判の確定はあり得ません

4.無戸籍の子が母の氏に変更する許可を申し立て、申立てを認める審判が確定した

子の氏については民法第790条で次のように規定しています。

(子の氏)
第七百九十条 嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
2 嫡出でない子は、母の氏を称する。

無戸籍の子に氏はないのに母の氏に変更する許可を申し立てることはできません。

5.生物学上の父が上記各審判書を添付して,無戸籍であった子の出生届出と氏の変更が受理され、母の戸籍に記載された

母が健在なのに生物学上の父が出生届出人になった出生届書を受理した行政は法律違反です。

母の戸籍に父の氏で子の出生が記載され、母の氏に変更した旨が戸籍に記載されたのですか?
それとも父の戸籍に一旦入籍していたのですか?

子が戸籍を得るまでの調停の経過事実は法律違反をいくつも重ねた内容で呆れ返ります。

原告の願いは、「嫡出性の推定に該当する子であっても夫の子でない場合は妻にも嫡出否認権を認めてほしい」についてのみですが、原告訴訟代理人が当初生物学上の父が出生届出をした時に行政が法規の正しい解釈を理解していて戸籍法の規定を説明していれば子や孫が長期間無戸籍にならずに 済んだことを裁判の請求にし、損害賠償請求額もそれ相応の金額を請求して国の反論に厳しく対応していたら、この事件はメディアも注目していたので法務省の誤った法解釈の指摘になり、多くの無戸籍の子の救済につながったことでしょう。

ただ、正論が採用されるかどうかは残念ながら裁判官の判断次第になりますので、誤っている通説が採用されて原告の請求は棄却されるかもしれませんね。

  ま  と  め

検証を総合すると、原告訴訟代理人(弁護士)、調停委員、行政、一審及び二審の裁判官、被告の国(法務省)並びに最高裁裁判官のすべてに共通しているのは、法律の専門家でありながら法知識が欠如していることです

一番重要なことは良識が念頭にあることです。特に親子関係は自然科学の範疇であることを考えると実親子関係は生物学上に基づいた出生届出ができることを法律に規定されていることが重要で、現行法は良識に従った誰もが納得できる規定になっています。

法務省が嫡出性の推定規定を正当に解釈できなかったために長年無戸籍になって苦労し続けた親子、法律の規定に反する調停や裁判をして無駄な行為をさせられた親子、この方たちの苦しみを当事者だけの苦しみにせず国民は力を合わせて法務省の責任を追及していくことが必要だと思います。

高裁の判決文に次の記述があります。

早期に父子関係を確定して身分関係の法的安定を保持することに係る利益と生物学上の父との間の父子関係と法律上の父子関係とを一致させることに係る利益(嫡出否認に係る利益)とでは,前者が優位な関係に立つとみるべきである。

夫にのみ嫡出否認権を認める制度に合理性があるからといって,妻や子に嫡出否認権を認めることが不合理となるものではない。
しかし,妻や子に嫡出否認権を認めるかどうか,認めるとしてどのような制度とするかは,婚姻及び嫡出推定を含めた家族に関する制度設計の在り方の問題であり,国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえた,国会の立法裁量に委ねられるべき問題と考えられる。

上記高裁の裁判官は良識に欠けており、戸籍法の規定を知らないことを示しています。

昨今の判決文では「国会の立法裁量に委ねられるべき問題と考えられる」という文言を耳目にする機会が多いように思いますが、憲法第76条第3項に「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」の規定があるにもかかわらず裁判官にその自覚がない判決で溢れています。
裁判官は「憲法と法律」に照らして結論を導くことを旨とし、「国会の立法裁量に委ねられるべき問題と考えられる。」と締めくくる判決は戒めていただきたいと思います。

黒川弘務氏の東京高検検事長勤務延長は法律違反でもわかるようにとりわけ憲法や法律を遵守しなければいけない立場にある政治家、法務省、人事院及び内閣法制局がそれに反する公務を執行し、それを国民に知らせる必要はないという閣議決定までしたことは悪質の極みです。日本が法治国家でないことを示す事例です。

最高裁裁判官は15名であるにもかかわらず上告の事件数が多いといわれていますが、この原因は最高裁裁判官にあります。
三行決定の中の「意見」という文言は、裁判所法第11条に規定する「意見」に該当するとして三行決定で済ます現状は、上告のあったほとんどの書面の内容を丹念に読まずに三行決定をしているのではないかと国民が思っても言い過ぎではないでしょう。

「嫡出性の推定に該当する子であっても夫の子でない場合は妻にも嫡出否認権を認めてほしい」の原告の訴えに対し、最高裁裁判官が憲法や法律に基づいて裁判所法第11条に規定する義務を果たしていないこと、メディアの報道も法規の正しい解釈の記事になっていないことから国民に法規の正しい解釈が浸透せず、結果として類似の事件の提訴が繰り返されているのが現状です。

国は裁判で「原告らは親子関係不存在確認訴訟により父子関係を争うか,又は嫡出否認を待たずに実父に対し認知の請求をすることができたと考えられる」と主張していますが、多くの国民にとって弁護士は身近な存在ではありませんし、ましてや裁判の当事者になるなど考えもしない人生を送っている国民に対して、法律に規定のない親子関係不存在確認訴訟や本件の裁判には必要のない認知請求の提訴の方法を示す態度は許されないし、無駄な裁判を強要する国の態度は非難に値します。