3.人体は単なるパーツの集合体に非ず
人体がパーツの集合体でない理由
医師が人体を単なるパーツの集合体と考えていることを、私は数十年前の新聞記事で知りました。人体はパーツの集合体ではありません。
部品を組み合わせて出来上がった物は、パーツの集合体です。
しかし、人体は受精卵というたった一つの細胞が分裂を繰り返して体を形成したので、パーツを集合して形成したものでないことは明らかです。
細胞は骨と歯を除いた全てが伸縮します。あるいは骨も歯も正常範囲内の圧を受け止める程度の伸縮をしているのかもしれません。
全身は一つであり、筋肉、骨、関節によってバランスが保たれていますが、1ケ所でも何らかの原因で異常を来たすと、そこを起点として八方に向かって全身を脅かしていき、全身のバランスを保つ役割をしていた筋肉、骨、関節にも異常が生じます。
筋肉を強くすることは良いことですか?
昨今、筋肉トレーニングの重要性が、叫ばれるようになりました。筋肉を強くすることは良いことですか。
否、筋肉にとって一番大事なことは、常に伸縮性、柔軟性があることで、ねじれ、圧縮、伸張が常態化していないことです。
全ての筋肉は、長さや厚み等が各人の全身に合わせてバランスよく決まっていますが、体の一箇所に異常を来たすと周辺の筋肉のバランスが崩れ、筋肉にねじれやしこり等が生じ、じわじわと広範囲に影響を拡げていきます。
筋肉の異常は骨に異常な負荷をかけることになり、骨を侵食したり、関節のバランスを崩したりします。
荒波が岩を浸食するのと同じ原理です。
最近骨折したという話を耳にすることが多くなりましたが、骨折した周辺の筋肉は硬かったり、強くねじれたりしていたと思います。
また、近頃は全身のあらゆる関節異常による疾病が頻繁に取り上げられています。 顎、肩、膝、股関節 ……… 等です。
X線写真等の画像により診断しているようですが、関節周辺の筋肉や靭帯のねじれ、硬直状態から骨にかかった異常な負荷の程度を診察することはないようです。
私は、関節部の異常の最大の原因は、筋肉や靭帯のねじれ、硬直による結果であると考えています。
半身不随を治した私の体験
私は歯科医療過誤により顎関節症を発症しました。
体は顎関節の偏位に伴って月日の経過とともに右回りに全身がねじれていきました。その結果、全身に様々な異常が生じましたが、その一つに右半身不随がありました。
右肩、右肘、右股関節、右膝が自由に動かず、日常生活に支障を来たしたのはいうまでもありませんが、一番苦労したのが衣服の脱ぎ着でした。
手足の先端までねじれが強くならないように、右半身は極力動かさないようにし、左半身で最低限の用をこなすようにしました。日常生活では歩くことも控えて体をあまり動かさないようにしました。
このような状態になった原因は顎関節症にあるので、私は顎関節を正常な位置関係に戻すことのみを行い、それ以外の箇所は極力動かさないようにしました。
その結果、顎関節周辺が改善すると、そこを起点として少しづつでしたが全身の筋肉や周辺の細胞が改善していきました。
関節周辺の筋肉の硬直やねじれが改善すると、何もしないのに突然に筋肉の力で偏位していた肩関節の骨が正常方向に向けて強い力で引き戻されました。
その瞬間はとても大きな衝撃が体全体を襲いましたが、肩関節が大きく改善しました。股関節も時期は異なりましたが同様でした。
それから数ケ月後、静止しているときに肘が突然勝手にピンと跳ねるように動き、この関節も改善しました。膝も同様の現象が生じました。
衣服が支障なく脱ぎ着できるようになり、右半身不随は消失し、不自由なく体を動かすことが出来るようになりました。
その後も少しづつ全身のしこりやねじれが消失して伸縮性や柔軟性が戻り、体の動きはよくなり、皮膚や内臓等も改善して全身の体調が良くなりました。
もし、私が右半身の不随関節を固まってしまったら困ると考えて無理に動かしていたら、脳や手足の末端まで麻痺が広がり、不自由な体になっていたと思います。
私の膝関節X線写真における医師の診断の問題点
右半身不随になる以前でしたが、全身の関節にわずかな異常を感じていた頃に、1ケ所の異常は八方に向かって全身に及ぶという持論の確認のために、顎関節症治療で通院していた口腔外科の歯科医師に、整形外科で膝から下をX線撮影して専門医に診断していただきたいとお願いして紹介状を書いてもらいました。(膝から下の撮影に限定したのは、X線撮影のリスクの小さい部分で確認したいと思ったからです。)
撮影後、若い医師が写真をみて、異常ありませんとおっしゃいました。
私が、膝関節に異常が現れていると思うのですが言ったところ、先生は写真をしばらくの間じっと見て、両膝の内側の骨が少し磨り減っていますとおっしゃいました。
私は、筋肉によって関節の向きが偏位して写る状態を、整形外科医は骨が磨り減ったと判断することや初期の異常は見逃されると思いました。
紹介状には、私が考えていなかった血液と尿検査の実施も指示していたようで、それらの検査結果を後日聞きに行ったとき、年配の医師はすべて異常なしとおっしゃいましたので、私が膝関節に異常があると思うのですが言ったところ、「何もわからないくせに、異常はありません」と強い口調で言われました。
整形外科の待合室で耳にした会話
待合室にいたとき、次のような会話を耳にしました。
一人は整形外科の外来患者、もう一人はユニフォームから病室内の補助業務を行う人のようで患者が入院したときに顔見知りになったようでした。
患者「股関節の手術をすれば痛み等がなくなるといわれたので、手術をすることにしました。」
女性「手術する前によく考えたほうがいいですよ。ほとんどの患者が1年後に今度は膝関節で入院しているから、手術しない方がいいのでは……」
患者「先生は一言もそのようなことは言っていなかった。」
女性はしきりに早まって手術しないようにと心配そうに話していました。
(私の記憶が曖昧なのでもしかしたら、股関節と膝関節の順序は逆かもしれません)
患者は医師と対話を重ねた上で手術の決心をすると思いますが、病状や手術を受けた後の経過について他の患者の声を耳にする機会が全くない状況では、医師の一方的な話で患者は判断することになります。
私はこの会話を聞きながら、体の構造やメカニズムから股関節を手術すると、異常の起点が増えて膝に強い影響が及ぶのは当然と思いました。
問診を十分に行い、全身のどこが起点になって股関節に影響が及んだかを医師が診断できなければ、患者の身体は次から次へと異常が広がっていきます。